2020年長男が8年間のクロアチアの初等教育(義務教育)を終え、4年制の高等教育に進学。詳しい情報が手元にあるので、まとめておくことにしました。
ただし、現行制度も、約6-7年前に内申点の対象が7‐8年生だけだったのが5年生からに拡大されるなど、ちょこちょこ変更されているようなので、あくまでもご参考まで。
クロアチアの公立高校入学手続きを終えての総論まとめ
小学校5-8年生の内申点の比重が大きいので、最終的にどこを選ぶにしても高校出願時での選択肢を広くしておきたいなら、5‐6年生からオール5を取っておかないと、手遅れになることもあるようです。
上位校の場合、全国テストnatjecanjeなどの成績優秀で選考免除制度利用者のほか、スポーツや家庭の事情、健康などの特別加算が合否の分かれめを左右するケースも多く、驚きました。
高校に入った後にぐんとがんばれる子で興味があるなら、競技人口が少ないスポーツやそれほど知名度の高くない情報関係の全国テストで全国レベルを目指す、という情報戦略的な要素も感じました。
高校進学手続きは7月中にすべて終了します。入試がない高校志望なら、すべてオンラインで手続きができるので、旅行に行っても大丈夫なようです。
クロアチアの高校レベルの学校えらび
長男は大学進学を前提とした一般理系志望。夫が自分の出身校絶賛推奨で、特に異論はなかったため、ママ友情報のほかは、あまり情報収集せず、子供まかせでした。
毎年4‐5月頃、公立高校も含めあちこちの高校でオープンデーが実施されるそうなので、ぜひ参加するとよいと思いました(長男7年生のときはノーマーク、8年生のときはコロナで非実施だったため参加できず)。
クロアチアの高校入学選考基準
高校によって違うのかもしれませんが、クロアチアの高校入学選考の合否には、以下の要素があります。
全国学業テストやスポーツの全国大会1-3位の人は選考免除で一発合格
のこりの定員枠は、以下の総合ポイントのランキングで決まります。
- 小学校5-8年生の内申点80点
- 全国学業テストやスポーツ全国大会および困難事情などによる特別加算1-3点
- 入試(一部の高校のみ)5点
選考免除一発合格(自動受理)
5年生頃から毎年教科ごとに実施される全国試験natjecanjeで、7‐8年生時の成績が全国1-3位の子は選考免除で自動入学許可扱いとなります。高校によって選考基準教科は異なるのかと思いますが、長男が出願した学校では、定員208人中上位22人は、算数、化学、情報学で全国1-3位の自動受理組が出願していました。
5-8年生の内申点
5-8年生の内申点がクロアチアの公立高校選考のベース。80点満点が最高得点になるようです。
内訳 | 点数 |
5-8年生全科目の平均点*注1 | 5点x4学年=20点 |
7‐8年生のクロアチア語、算数、第一外国語 | 5点x2学年x3教科=30点 |
学校(プログラム)ごとに7‐8年生の化学や物理、歴史、地理など | 5点x2学年x3教科=30点 |
合計80点 |
*注1:5-8年生の各学年ごとの総合平均得点5点には、体育や図画工作や音楽、また選択科目である宗教や第二外国語なども含まれているようです。
特別加算
7‐8年生の全国レベルのスポーツや全国試験成績も加算対象になります。これらの点数は複数項目合算可能です(たとえば、スポーツ加算2点+健康加算1点など)。
長男が出願した5つの高校・プログラムでは、合格者の20%程度に1点加算がありました。ざっとみたところ、スポーツや学業は少なく、ほとんどが困難事情加算でした。
スポーツ加算1‐3点
バドミントン、射撃、柔道、陸上、チェス、バスケ、バレーボール、水泳など、さまざまなスポーツの全国大会(チーム戦含む)で1位3点、2位2点、3位1点の加算の子たちがいました。
学業加算1点
全国レベルの学業コンペ5-7位の子は1点加算
困難事情加算1点
学業に支障をきたすと認められた健康事情(闘病、慢性疾患など)1点や家庭の事情(経済的、社会的、教育的悪環境、親の離婚なども含む)も1点加算。
病気といっても、軽微な脊柱側弯(そくわん)症など、学業に支障あんまりないよね?というようなものも、申請すれば認定されるという噂です。家庭の事情加算をもらうために夫婦が離婚するケースもあるという話もききました(高校教師談)。
過去には選考基準が不当だということで訴訟を起こしたケースもあるそうです。
入試(一部の高校のみ)
ほとんどの高校は入試はなく、内申点+特別加算のランキングだけで決まりますが、一部の上位校では入試があります。入試科目は学校・プログラムによって異なります。
入試で得られるポイントは5点満点。長男が受けた学校の場合、算数のみ1時間20問満点のテストが高校で実施されました。過去問は高校サイトに掲出されていました。
入学手続きスケジュールとプロセス
upis.hrという高校出願専用ウェブサイトがあり、初等教育でもらうCarnetのログイン情報+もうひとつパスワードでログイン。このサイトで高校出願プロセスのほぼすべてが一括管理されています。
7月8-12日第1-6希望を専用ウェブサイトで選択
まず第1-6希望を専用ウェブサイトで選択し、各高校・プログラムごとにランキングが毎時更新されます。
第一志望のみ高校・プログラムごとの全志望者リストに表示され、第二志望以下は全体リストには表示されませんが、各高校・プログラムごとの自分のランキングは表示されました。

7月13-17日高校ごとの入試
一部の上位校のみ入試があります。入試は、学校やプログラムによって1-3教科。1日で終わり、日付も重ならないように調整されているので、6校(6プログラム)受験することが可能です。
入試結果の異議申し立て
長男の第一志望MIOCの場合、15日9‐10時入試で、同日17時には入試結果がウェブ上で発表。入試結果に異議・疑義がある人は、翌日11-13時、申し立てができるようになっていました。
入試ポイント加算後のランキング発表
MIOCの場合、入試翌日16日15時すぎから、1時間ごとに、入試ポイント加算状況が更新されていき、17時すぎには全員分の最終ランキングが判明しました。
15時すぎの段階では、長男の入試ポイントはまだ入力されておらず、0点のままだったので、合格圏外表示となっていて、超焦りました。

7月22日12時~24日15時、最終希望書類を担任に送付
7月22日12時(正午)に、6校(6プログラム)出願していた高校リストの優先順位がロックされ、最終希望リストが確定。これをうけて、最終希望校リストをシステムから印刷、出願者本人と保護者がサインしたあと、スキャンまたは写真をとって、小学校の担任に7月24日15時までにメールで送ります。

7月26-27日最終志望校に願書を提出
最終ステップは、一括サイトではなく出願校のサイトから出願書類を印刷、記入して、オンラインで提出しておしまいです。我が家ではのんきにオンライン提出しましたが、几帳面な友人家族は、高校まで出向いて提出したそうです。
【参考】大学受験のこと
大学受験は、センター試験のようなテストmaturaの比重が大きいようで、高校の内申点比重は40%とのこと。(知っている範囲で、ザグレブ大学の医学部や哲学部の一部学部などでは、学部独自の入試があるそうです。同じ医学部でもリエカ大学やオスィエク大学は入試なし)
大学進学が前提で、まわりの友達や雰囲気にながされて勉強しちゃう子なら、「いい」高校に行っておいた方が、おそらく4年間かけてmatura対策をしてくれるのでラクだと思います。
matura対策さえ自分でがんばれ、かつ「友達や人脈」や「ブランド(ひいては自己肯定能力)」という観点を度外視するなら、高校えらびは、自分にあったところを選べばよいのかなと思いました。
おわりに
クロアチアの高校進学にまつわる情報、うわさなんとなく聞いていましたが、具体的な情報が一切ないなかで、結構おどろくことが多くありました。
実際にするかどうかは別にして、事前にとれる対策や裏ワザもあり、我が家の場合、さいわいなことに影響ありませんでしたが、僅差で悔し涙になったご家族はさぞ無念だったろうなと思いました。
クロアチアで高校進学されるお子さんがいる方のご参考になるとうれしいです。
あくまでも自分の個人的な体験談でわかった範囲の情報でまとめてみました。誤りや誤解がありましたら、ご指摘いただけると助かります。
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